楽曲レビュー ~今宵の月のように/エレファントカシマシ~

こんにちは、ハムスケです。今回は楽曲レビューをしていきたいと思います。記念すべき第1回はエレファントカシマシさんの今宵の月のようにでございます。昔の曲ですが、個人的に大好きな曲なのでこの曲にしました。

本作は1997年リリース、テレビドラマ「月の輝く夜だから」の主題歌として書き下ろされました。1997年というと、23年前です。ちなみに僕もまだ生まれておりませんでした。

早速楽曲分析、レビューへと参りましょう。

構成

曲の構成を見てみます。この曲は

サビ(15)→イントロ(8)→Aメロ(16)→Bメロ(9)→サビ(7)→間奏(8)→Aメロ(16)→Bメロ(9)→サビ(19)→アウトロ(8)

構成になっております。ポイントは、サビ始まり(サビ出し)が15小節と長めになっている点です。長サビはテレビCMで重宝されますね。サビ出しは30秒以上尺があったため、30秒CMにもぴったりです。

また、サビ終わりが間奏に食われる形となっているため、イントロや間奏で独特の疾走感を感じられます。間奏が16分のギターカッティングとなっている点からも、意図的に間奏に疾走感を持たせたいのでしょう。まるで、この曲の主人公が歩いたり、急に走り出しているかのようです。

Bメロ終わりですが、1小節の助走があります。後で触れますが、この小節のコード進行はⅤsus4→Ⅴと、サビへ続く気持ちいいコードとなっております。助走の小節を入れることで、丁寧なサビ入りが可能となります。しかし、あまりにも丁寧に入ってしまうとかなりダサくなってしまうんです。この曲では、ダサさを回避するためにサビへ半拍速く突っ込んでいます。

コード

次にコード進行を見ていきます。キーはGでございます。

Aメロ:|G→GM₇|→|G₇→E₇|→|Am→AmM₇|→|Am₇→D₇|

Bメロ:|B₇|→|Em|→|A₇|→|D|→(|Dsus4→D|)

サビ:|G|→|B₇|→|Em|→|G₇|→|C→D|→|B₇→Em|→|A₇→D|→|G|

間奏:|Gsus4→G|→|Fsus4→F|

 

まずAメロの進行ですが、この進行、構成音がソ→ファ#→ファ→ミ→ミ→レ#→レ→ドとだんだん下がっているんです。カノン進行とクリシェを併せ持ったような進行です。

2周目のBメロの最後、9小節目のⅤsus4→Ⅴの動きが気持ちいいですね。この進行はⅠ度に元に戻ろうとする力を生みます。つまり、新しい展開を生むエネルギーを蓄えているのです。ここの小節で、サビが始まる絶好の環境を作ってくれているのです。

サビの進行は、ザ・Jpopな進行です。始めのⅠ→Ⅲ₇の進行は、個人的に好きな進行です。これから前を向いて進んでいこうとした矢先、何か不安が頭をよぎるような、何か良からぬことが起こるような、そんなイメージを受けます。

間奏の進行は4つのコードの繰り返しです。構成音を見てみると、ド→シ→シ♭→ラとクリシェを使っております。ここに関しては、コード全体よりコードの中のメロディを楽しむ感じでしょう。

 

リズム

メロディは基本的に8分です。しかし、感想のギターだけ16分になっています。先にも書きましたが、リズムに緩急をつけることで、主人公の気持ちや状態を表すことができます。僕は8分では落ち着いて歩いている印象、16分で焦りを感じて走っている印象を受けました。

歌詞

個人的に歌詞に関しては殆ど関心がないんです笑 が、少し分析してみようと思います。

まずはサビの「あふれる熱い涙」。エレカシの歌詞にはよく出てくる文言ですね。男くささが感じられる、らしさが詰まった表現です。

他のキーワードとしてはサビの「今日(明日)もまたどこへ行く」「愛を探しに行こう」「いつの日か輝くだろう」あたりですね。サビで繰り返し使われています。

これらからストーリーを紐解きます。始まり、なぜか主人公はイライラしています。くだらねえ日常の気晴らしに、昔の彼女の町まで電車に乗って行きます。ただ、元カノには会うことなく、元カノ=君、愛との思い出の地を見て回ります。特に気持ちは軽くなることなく、曲は終わります。感情の起伏はあまりなく、あまり気分が良くない状況がずっと続いている感じでしょうか。

「いいことねえなあ、散歩でもするか。ここら辺昔彼女と歩いたなあ。あの日々は楽しかったなあ。、、いいことねえなあ。」昔の楽しかった思い出と辛い今を比較することはだれしもやることで、この普遍性がこの曲が支持されているポイントなのだと思います。

 

以上、4つの観点からエレファントカシマシさんの今宵の月のようにをレビューしてみました。今回はこれにて終了です。最後までお読みいただきありがとうございました。